●今回は中高生向け●
147箱目「一発屋」
ポップミュージックの歌手の中で、自分の持ち歌がヒットしたのは生涯で一回だけ、という人がいます。
こういうミュージシャンを日本では俗に「一発屋」と呼びます。
英語圏にも、似たような語があるんです。
それが、one-hit wonder です。
He is just a one-hit wonder.
「あいつは、ただの一発屋だよ」
のように、どちらかというと、マイナスイメージを持った語ではあります。
でも、生涯一度もヒット曲を出したことがないミュージシャンのほうが何百倍も多いわけですから、一回でもヒット曲を出せたのは、かなりすごいことではないかと、わたしは思いますが。
わたしがこの語を知ったのは、比較的最近です。
アメリカの、ある偉大な音楽プロデューサーが、自分のコンサートで曲の合間のトークで口にしたんです。
初めて聞いた語でしたが、文脈で即、意味がわかりました。
と同時に、「いかにも英語だなあ」と感じました。
なぜかというと、one-hit wonder の、one- の部分と、wonder の won- の部分が韻を踏んでいたからです。
どちらも〔ワン〕と発声するので、リズム感が生じます。
英語は「韻を踏む」のが大好きですからね。
one-hit wonder も「一発屋」も、ポップスの分野で用いられるのが主ですが、英語のone-hit wonder は、プロ・スポーツ分野で言われることもあるようです。
日本語の「一発屋」は、スポーツ関係で用いられることは、ゼロではありませんが、あまりないように思います。
何と言っても、日本語「一発屋」の大きな特徴といえば、「お笑い芸人」に対して用いることも多い、ということですね。
これは、one-hit wonder にはない特徴ですね。
●語り手/英語科・鈴田
「韻を踏む」ということに関連して、125箱目「かたつむり郵便」もご覧いただければ、うれしいです。