●今回は中高生向け●
163箱目「ぶどう論争」
ネット上には、いろいろな分野で疑問に思ったことを投稿すると、閲覧者が自分の回答や見解を投稿する、といったSNSがあります。
そういったサイトの一つを眺めていたら、次のような興味深い質問があったので、紹介します。
質問者はアメリカに長年住んでいた日本人女性。
現在、日本で英語を教えています。
「…英語で『ぶどう』は、1粒だと a grape であり、一房なら grapes であると、わたしは思っている。しかし職場の同僚が、イギリス英語では『ぶどう』は粒、房に関係なく、すべて grape である、と自信満々に断言してくる。厳密に言うと、同僚はヨーロッパ出身であり、英語ネイティブではないし、イギリス出身でもないが、完璧と言えるほどの英語力を持った人なので、同僚の、この強烈な主張に戸惑っている。皆さんは、どう思う?」
といった内容です。
ちなみに、わたし鈴田も、質問者とまったく同じ見解です。
どう考えても、1粒の「ぶどう」なら a grape だし、2粒以上とか房になっていたら、grapesでしょう。
「房」ということをきっちり言いたい場合は a bunch of grapes という言い方をすれば良いです。 a bunch of A …「一房のA」
さて、どんな回答が寄せられているのだろうと興味をもって、回答を見ていきました。
結果、同僚が正しいという意見の人はゼロでした。
皆、質問者の認識が正しい、としていました。
中には Collins とか Longman からの引用を掲載している人もいました(どちらも、すごく権威があるイギリスの辞書です。これ、決定打ですね)。
BBC(イギリスの、NHKみたいなテレビ局)のサイトからの引用もありました。
「バナナ」だって1本なら a banana、房になって複数あったら bananas でしょ?という記述もありました(ごもっとも、です)。
というわけで、この件は、同僚のカン違いであると言えそうです。
ちなみに、塾でわたしが使用している小学生英語のテキストには、「ぶどう」はgrape(s) と表記されています。
この表記の仕方から、「『ぶどう』は一応grapeだけど、grapes という形もよく見るからね」という編集者のメッセージが込められているようで、ちょっと笑ってしまいました。
●語り手/英語科・鈴田
