●今回は中高生向け●
79箱目「コロナ…か?」
「コロナ禍」という言葉がありますね。
「禍」は〔か〕と読みます。
「災難」「危機的状況」という意味。
よって、「コロナ禍」とは、「コロナがもたらした災難、危機」ということです。
ある時から急に報道機関やネット上で、さかんに口にされるようになりました。
まるで、報道機関のエラい人たちが密かに集まって、「『コロナが生じさせた災い、危機的状況』を、われわれ報道機関はこれから『コロナ禍』と呼ぶことに統一して、国民に浸透させようではないか」とでも決めたかのように。
わたし個人としては、正直なところ「コロナ禍」という語は、リズム的に「乗れない」というか、なんか言いにくいなあと感じています。
初めて「コロナ禍」という語を音声で聞いたとき、この「か」は「犯人はキミか」というときの「か」なのか、または「英国の統治下…」というときの「か」なのか、はたまた「欧米化」というときの「か」なのか、と、瞬間的にまごつきましたから。
さて、日本のマスコミが好む「コロナ禍」という語ですが、英語ではどう言えばいいかというと、ホントにそのまんま、ですが、
the coronavirus crisis
で良いと思います。
crisis〔クライスィス〕は「危機」の意(入試必修語です)。
あるいは、
the coronavirus disaster
でも通じると思います。
disaster〔ディザスター〕は「災害」の意(入試必修語です)。
あと、前回「おまけ箱」78箱目で紹介した、
the coronavirus pandemic
とか、
the pandemic
という語でも大いに良いかと。
日本文の「コロナ禍」と述べられた部分は、英訳ではこれらの語に置き換えても、まったく問題は生じないと思います。
●語り手/英語科・鈴田