●今回は中高生向け●
138箱目「火星人よ、火星に帰れ!」
come home と go home の違いがわからないと、中学生から質問されることがあります。
どちらの語も「家に帰る、帰宅する」という訳語で習うので、無理もありません。
My sister came home at 8 p.m. yesterday.
は、“筆者《わたし》の姉は昨日、午後8時に家に帰って来た”ということです。
ところが、
My sister went home at 8 p.m. yesterday.
だと、“筆者《わたし》の姉は、隣町で一人暮らしをしているが、昨日、筆者の家にやって来て、しばらく過ごした後、自分の家《隣町》に午後8時に帰った” といった感になります。
つまり、come home は「自分の家に到着する、帰って来る」ということ、
go home は「《その場から》自分の家に向かって出発する、立ち去る」というふうに認識、理解をしておくと良いと思います。
さらに言うと、
Mary came home from the library at 4 p.m.
は、メアリーが家に着いたのは午後4時です。しかし、図書館を出たのは……これは何時だったかは、わかりません。
Mary went home from the library at 4p.m.
は、メアリーが家に帰るつもりで図書館を出たのは午後4時です。しかし結局、家に着いたのは何時だったかは、わかりません。
60年以上も前にアメリカで発表された小説で、 Martians, Go home. という有名なSF作品があります(日本では『火星人ゴーホーム』」という題名で知られています)。
Martian 〔マーシャン〕は「火星人」の意です。
題名が示す通り、火星人が集団で地球を侵略しにくるという話です。
「火星人どもよ、故郷《火星》に帰れ」というわけです。
これは、完全に地球人側から発せられているセリフですよね。
仮にこれを、Martians, Come Home. とすると、「火星人どもよ、地球に帰って来い」ということになって、意味不明なものになってしまいます。
以上、come homeとgo homeの違い、納得いただけたでしょうか。
また、get home という言い方もありますが、これは come home と同じと思って大丈夫です(get には『到着する』の意味があります)。
ただ、get は、途中経過にも視点が置かれた感があるので、by bike とか by bus とか、交通手段をつけ足した例文で見ることが多い気がします。
●語り手/英語科・鈴田