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英語のおまけ箱6箱目「劇場版『コナン』の英語はヘン?」

「コナン」の英語

●今回は中高生向け●

劇場版「コナン」の英語はヘン?
学而会 英語のおまけ箱 6箱目

電車の中で、高校生とおぼしき二人の男子が話していました。

一人が「『コナン』の、あの英語、おかしくね?」と言っていました。

どうやら「名探偵コナン:瞳の中の暗殺者」という劇場版のことのようです。

わたしはテレビは見ませんが、どういうわけか、劇場版「コナン」は全作見ているんです。

「瞳の中の…」は、そうとう古い作品です。

ネット配信かケーブルTVで、かれは最近見たのでしょうかね。


連続射殺事件が発生し、被害者はいずれも刑事です。

探偵の毛利小五郎が白鳥刑事に事件の詳細を教えてくれとせがむと、白鳥刑事は「それは need not to know です」と言い放ち、毛利氏とコナンは驚きます。

need not to know とは「知る必要がない事」という意味の、警察内での隠語(組織や仲間内だけで使われる語)なのでした。

need not to know ということは、ひょっとして警察関係者が容疑者なのか…」とコナンは考えます。

先の高校生が言うには、「あれ、need not know でいいんじゃないの? to はいらなくね?」ということなんです。

みんなはどう思いますか?

そもそも、日本の警察内で本当にこういう言い方をしているのか、この語は映画の脚本家や原作者の青山氏の創作によるものなのか、といったことがわからない限りは、いくら論じても意味がない気はしますが、今回はこれらは無視して、気楽な「頭脳訓練」として考えてみましょう。


中学で動詞の need が登場しますね。

need A 「Aを必要とする」

need は、目的語(A)には、不定詞(to+動詞の原形)もとります。

need to ~ (~は動詞の原形)
「~することを必要とする」

 ↓
need to know で「知る必要がある」

よって、「知る必要がない」は、

don’t need to know

という形になります。


さらに、中学ではあまり習いませんが、助動詞need というのもあります。

助動詞ってことは、 can must と同じ用法ってことです。

need ~ (~は動詞の原形)
「~する必要がある」

 ↓
need know で「知る必要がある」

よって、「知る必要がない」は、

need not know

という形になります。

need が動詞だろうが助動詞だろうが、やはり、

need not to know

となりませんね。


こう考えてはどうでしょうか。

ここでの need は、やっぱ動詞です。

それと、これは中学では習わないことが多いのですが、実は、不定詞というのは、否定の意味にできるんです。

to の前に not をつけるのです。

not to ~ (~は動詞の原形)

で、「~しないこと」となります。

I decided to see her.
「わたしは、かのじょに会うことを決意した」

I decided not to see her.
「わたしは、かのじょに会わないことを決意した」

よって need not to know が成り立ちますね。

ただ、これは、 否定(not)が係っているのは need ではなくて、 to know のほうですから、正確に言うと「知る必要がない」ではなくて、「知らないことが必要である」となります。
 
「底辺部の者が組織で生き残るためには、必要なことがある。それは『知らないこと』だ《つまり、あれこれ詮索しないことだ》」っていうニュアンスが出ているんじゃないでしょうか。


それにしても、電車の高校生ですが、こんな疑問を持つなんて「文法をきちんと勉強できているなあ」と感心しました。きみはエラいぞ!

ついでの話ですが、あの映画で、ラスト、事件を解決したコナンに警察の偉い人が「いったい、きみは何者だね?」って聞くと、コナンは「それは need not to know です」と返していましたっけ。

●語り手/英語科・鈴田●